ディフレクターって何?
トランペット吹きの皆さん、こんにちは!
皆さんは「ディフレクター」というものをご存じでしょうか?
各種ミュートをはじめ、トランペットにはさまざまなアクセサリーがありますが、ディフレクターというのは長年トランペットを吹いている方でもあまり馴染みがないかもしれません。
ディフレクターとは、簡単にいうと「自分が出している音を聞きやすくする」ためのものです。
「え? たったそれだけ?」と思う方もいることでしょう。
ところがどっこい!
コレが意外とバカにできないんですよ、お客さん!
……急にうさんくさくなりましたが、実際に購入して練習や本場演奏で使用してみたところ、ホントに予想を上回る効果が実感できました!
正直に言って、デメリットもないわけではありません。
そのあたりのところも含め、詳しくお話ししていきますね!
実際に使ってみた!
早速、ディフレクターを実際に使ってみた感想をお話ししていきます!
まず、見た目はどんなものかというと――
こんな感じで、いたってシンプル。
なんだか、ブーメランみたいですね。
これを、ベルに装着して使用します。
トランペットのベルを止め具で挟み込み、ネジを締めて固定します。
こんな感じになります。
ベルの上部を覆う黒い部分で音を反射させる仕組みですね。
黒い部分は開閉式で、ミュートを挿入する際やスタンドに立てる際には開くことができるようになっています。
このディフレクター、初めて使用したのは屋外でのコンサート本番でした(笑)
出番前、「ホントに効果あるのか?」と半信半疑でベルに装着し、ウォーミングアップがてら軽く音を出すと……
聞こえる!
自分の音がハッキリと!
試しにディフレクターを外した状態と吹き比べてみると、差は歴然。
自分の音の聞こえ方が全然違います。
屋外だから、多少は音が拡散するのではないかと思っていましたが、結果的には全くの杞憂。
「こんなのアリか!?」と、思わず笑ってしまいました。
本番でも、もちろん装着して演奏。
合奏全体としてはどうだったか分かりませんが(笑)、私個人としては大満足の演奏会となりました。
「自分の音が聞こえる」メリット
改めて「ディフレクター」の効果を一言で言うと、
「トランペットを吹いている時に、自分の音を聞きやすくする」というものです。
そもそも、「自分の音が聞こえる」って、そんなに大事なことなんでしょうか?
皆さんは、トランペットで自分が出している音が、どの程度聞こえているでしょう?
あまり広くない部屋で何人かで練習していると、自分の吹いている音がよく聞こえないということがあるかと思います。
そんなときは、壁に向かって吹くと自分の音が聞きやすい、なんて小技もよく耳にしますね。
本番演奏ではどうでしょうか。
トランペットは音が大きいので、木管楽器に比べると自分の音も聞こえやすそうです。
ただ、トロンボーンと同じくベルが前に向いているため、意外と自分では自分の音は聞こえにくいのではないでしょうか?
音を遠くに飛ばせる方の場合は、特にそうではないかと思います。
私の場合、最近の練習や本番演奏を振り返ってみて、「吹くときにムダな力が入っているのではないか?」と感じていました。
そしてその原因をあれこれ考えてみた結果、「自分の音がよく聞こえていないために、不必要なほど大きい音量で吹いているのではないか?」と思い至ったのです。
というのも、オーケストラでトランペットを吹いていたときは、たいてい一つの曲につきトランペット奏者は2人だけでしたし、管楽器全員で音を鳴らすという場面もほとんどありませんでした。
必然的に「嫌でも自分の音を聞きながら吹く」という環境に慣れていたのですね。
現在、ビッグバンドという管楽器主体の演奏形態で吹くようになったにも関わらず、「自分で聞こえる音量」を基準にして昔と同じ音量で吹こうとしていたために、ムダな力が入っていたのではないかと思ったわけです。
すなわち、自分の音がもっとよく聞こえるようになれば、過剰な力も抜けるのではないかと。
そこでディフレクターという存在を知って、購入して使ってみたというワケなのでした。
ディフレクターのココがすごい!
では改めて、ディフレクターを使用するメリットについてお話ししていきましょう。
①自分の音程・音色を確認できる
②ムダな力を使わず、バテずに吹ける
①自分の音程・音色を確認できる
音程感覚を掴む、というのはトランペットを演奏する上でとても大切な要素の一つです。
でも、同じ部屋の中で何人もの金管楽器奏者が練習している環境では、自分の音を客観的に聞くのはなかなか難しいものです。
みんなそれぞれ違う曲を練習している時などは、自分の音が埋もれてしまうだけでなく、音程感覚も正確につかめなくなってしまいます。
音色についても同様のことがいえます。
「自分がイメージするような音色で吹けているか?」ということを自分の耳で確認できなければ、理想の音作りも至難の業。
他の人の音に埋もれてしまっては、思うように演奏できているかどうか分かりません。
ディフレクターを使うことで、自分の音をかなりハッキリと聞くことができるようになりますから、多くの人が同時に使う共有の練習スペースでも自分の状態をしっかりと掴むことができます。
人が少ない場所や時間をわざわざ選ぶ必要もなくなり、練習効率もグッと上がることでしょう。
②ムダな力を使わず、バテずに吹ける
私にとっては、これが最大のメリットです。
他の奏者や客席で聴いている人には適正な音量で聞こえていても、自分の耳でそれが実感できないと「音が鳴っていない」と捉えてしまいがちになります。
結果として、もっと音を大きく聞かせようと息を過剰に吹き込んでしまうということが起こります。
本来使わなくてもいい力を余分に使ってしまっているのですから、それだけバテるのも早くなりますよね。
ディフレクターで自分の音が良く聞こえるようになれば、このジレンマは一気に解決します。
実際、上で書いたディフレクター初使用の屋外コンサートで、私はほとんどバテずに最後まで吹ききることができました。
ハイトーンが連続する、かなりハードなプログラムだったにも関わらず、です。
バテなくなれば、それだけ演奏のクオリティも最後まで保つことができますし、周囲の音を聞く余裕もできます。
もちろん、長時間の練習のときでも、ディフレクターを付けていればほとんどバテることがありません。
まさに良いことずくめ。
本当に、自分でも驚きの結果でした。
ディフレクターのデメリット
初めの方でもお話ししましたが、良いコトずくめに思えるディフレクターにも、デメリットは多少あります。
①ミュート着脱時の手間が増える
②ちょっと目立つ
①ミュート着脱時の手間が増える
ディフレクターは、ベルの一部を覆うことで音を逆方向に反射させる仕組みになっています。
このため、装着時にはミュートを装着することができません。
この製品の場合、ベルを覆っている部分を上に開くことでミュートを付けることができるようになっています。
必然的に、ミュートを装着している状態ではディフレクターの効果を得られなくなります。
さらに、ミュートを外した後はディフレクターを元の位置に戻さなくてはいけないので、手間も増えることに。
曲によっては、ミュートを外してすぐに次の音を吹かなくてはならないこともありますが、この場合はディフレクターを戻しているとほぼ確実に間に合いません。
対策としては、ミュートを外した後は一時的にディフレクターなしの状態で吹き、次の長い休みで戻す、というくらいしかなさそうです。
②ちょっと目立つ
上の写真を見ていただくと分かりますが、ディフレクターを付けていると、多少見た目がアレです(笑)
まぁ、そこまで悪目立ちするわけではありませんので、気にしなければ良いだけかと。
私も、他の奏者に「ヒゲみたい」とからかわれながらも、気にせず装着したまま本番演奏をこなしています(笑)
ぜひ一度お試しあれ!
トランペットのディフレクターについて、ここまでご紹介してきました。
デメリットは限定的だと思いますので、「自分の音が聞こえなくて不安」「吹くときにどうしてもムダな力が入ってしまう」という方は、一度試してみてはいかがでしょうか。
なお、この商品の場合「トランペット用」「サックス用」「トロンボーン用」が一つのパッケージの中に同梱されています。
3つの楽器全て吹ける人でないと3つ持っている意味はありませんので、安く済ませたい方はお友達と共同購入などしてみてはいかがでしょうか。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
今回の私の話が、皆さんのトランペットライフに少しでも役立てば嬉しいです!