そもそもオーケストラって?
全国の音楽好きの皆さん、こんにちは!
さて、「オーケストラ」という言葉は、きっと誰もが聞いたことがあると思います。
では、「オーケストラって何?」と聞かれたときに、果たして説明できるでしょうか?
簡潔に、しかも正確に説明するには、どう言えばいいのでしょうか?
ズバリ、結論からいきます。
弦楽器・管楽器・打楽器で構成される音楽の一形態のこと。
いかがでしたでしょうか。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
……ウソです。終わりません。
いや、実際は上の説明で完結しているんですが、こんな辞書的な説明じゃイメージできないですよね。
「弦楽器ってなんやねん!」
「管楽器ってなんやねん!」
「打楽器って具体的にどの楽器やねん!」
とツッコミたくもなります。
というわけで、もう少し詳しく言いますと、
ヴァイオリン、フルート、ホルン、ティンパニ、その他大勢の楽器奏者が集まって、クラシックやら映画音楽やらを奏でる集団。
こんな感じだとどうでしょうか。
先ほどよりわかりやすいのではないでしょうか。
オーケストラと言われたとき、ほとんどの人はざっくりとしたイメージはできると思うんですよね。
「○響アワー」とかやってますし。
でも、いざ聞かれると説明に詰まってしまう、という言葉の典型かもしれません。
ベートーヴェン/交響曲第5番 ハ短調
アンドレス・オロスコ=エストラーダ指揮
hr交響楽団(フランクフルト放送交響楽団)
ということで、オーケストラとはどんなものなのかについて、もう少し詳しくお話ししていきます。
どんな楽器があるの?
吹奏楽団、ジャズバンド、ロックバンドなど、世の中にはいろんな演奏形態がありますが、だいたい「どんな楽器が含まれているか?」ということで区別されることが多いものです。
オーケストラについての最初の説明では、「弦楽器・管楽器・打楽器で構成される」とお話ししました。
もっと詳しく言いますと、管楽器は木管楽器と金管楽器に分けられます。
この楽器の種類について、一つずつお話ししていきます。
①弦楽器
弦楽器と一口にいってもいろいろあって、ギターとかリュートとかも弦楽器ではあるのですが、ここでいう弦楽器とは「ヴァイオリン」「ヴィオラ」「チェロ」「コントラバス」の4種類の楽器です。
どの楽器も、馬の毛が張ってある「弓」で「弦」をこすることで音を出すしくみです。
ヴァイオリンは誰もが知る楽器の一つですね。
さて、この4種類の楽器が組み合わされるとどんなサウンドが出来上がるのか?
「百聞は一見に如かず」と言いますので、動画を見ていただいた方が分かりやすいでしょう。
チャイコフスキー/弦楽セレナーデ ハ長調
アラン・アルティノグリュ指揮
hr交響楽団(フランクフルト放送交響楽団)
上の動画は、ヴァイオリン・ヴィオラ・チェロ・コントラバスの4種類の弦楽器だけの演奏です。
これらの楽器の音色が混ざり合い、メロディ、ハーモニー、低音の響きを作り上げます。
この弦楽器こそが、オーケストラの主役です。
②木管楽器
吹き口から楽器(管)の中に息を吹き込んで音を出す楽器を「管楽器」といいます。
このうち、「オーボエ」「フルート」「クラリネット」「ファゴット」の4種類がオーケストラで主に使用される「木管楽器」です。
フルートを指して「どの辺が『木』?」と突っ込む方もいらっしゃると思いますが、話すと長くなりますので今回は割愛。
木管楽器はそれぞれが特徴的な音色を持っており、曲の中でメインメロディを担当することも多く、特にオーボエはソロも非常に多く割り当てられます。
ボロディン/歌劇「イーゴリ公」より「だったん人の踊り」
コンスタンティ・アンジェイ・クルカ指揮
グダンスク・スタニスラフ・モニューシュコ音楽アカデミー交響楽団
この曲の冒頭部分は木管楽器のアンサンブルになっていますね。
弦楽器とは雰囲気の異なるハーモニーを奏でることができるのも、木管楽器の大きな特徴です。
③金管楽器
管楽器のうち、息を吹き込む際に唇の振動を伴って音を出す仕組みになっているのが「金管楽器」です。
オーケストラでは「ホルン」「トランペット」「トロンボーン」「チューバ」が主に使用されます。
……が、実はトランペット、トロンボーン、チューバは出番のない曲もあります。
吹奏楽部でこれらの楽器を吹いている人は「えー!?」と思うかもしれません。
これらの楽器は昔、出せる音の種類が少なかったため、曲の中に入れていない作曲家もいたからなんですね。
時代が進むにつれて、これらの楽器の出番も多くなっていきました。
対照的に、ホルンはオーケストラで大活躍。
メインメロディを奏でることも多く、花形楽器の一つとなっています。
オーケストラでのトランペットの特徴については、こちらの記事で詳しく書いています。
ベルリオーズ/幻想交響曲 第5楽章
ダニエレ・ガッティ指揮
ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
※再生ボタンを押すと、第5楽章途中から演奏が始まります。
この曲では、金管楽器が中心となって讃美歌のハーモニーを奏でます。
太くて力強い音色が金管楽器の特徴ですが、このように美しい響きを作り上げることもできるのです。
④打楽器
打楽器も数多くの種類がありますが、オーケストラの常連は何といっても「ティンパニ」ですね。
音の高さの異なる4つの太鼓を叩き、オーケストラのリズムを下支えする重要な楽器です。
他にも、シンバルや木琴、大太鼓、チャイムなど、曲によって実に多彩な種類の打楽器が用いられ、演奏に彩りを添えます。
有名な「剣の舞」では、冒頭から打楽器が大活躍して楽曲を盛り上げていますね。
ハチャトゥリアン/バレエ音楽「ガイーヌ」より「剣の舞」
小澤征爾指揮
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
どんな曲を演奏するの?
オーケストラでは「クラシック」と呼ばれる音楽を演奏している、というイメージが強いのではないでしょうか。
大きな意味では、それでだいたい間違いありません。
ただ一口に「クラシック」といっても、器楽曲から合唱曲まで多種多様なジャンルがあるので、厳密に言うと「クラシック=オーケストラ」ではない、という点には注意が必要です。
オーケストラで演奏するのは、古今の作曲家が書いた管弦楽曲や交響曲、協奏曲といわれる楽曲であり、オペラやバレエでも演奏をおこないます。
また、オーケストラでは昔の作曲家の曲ばかり演奏するのかというとそうではなく、現代の音楽家の曲も当然演奏しています。
映画音楽やドラマのテーマ音楽など、身近なところでもオーケストラの音楽を聞く機会があります。
最近では、ゲーム音楽もオーケストラのコンサートに取り入れられる場合が多くありますね。
「ドラゴンクエスト」の音楽などはその代表的なものといえるでしょう。
すぎやまこういち/交響組曲「ドラゴンクエストV」より「序曲のマーチ」
大野和士指揮
東京都交響楽団
コンサートはどんな感じ?
オーケストラの演奏を聴くなら、やっぱり演奏会に行って生で聴くのが一番!です。
でも、行ったことのない方は「なんとなく行きづらい」「マナーとかが厳しそう」と思うかもしれません。
実際、ロックバンドのライブなどとはかなり雰囲気が違うのは確かなのですが、オーケストラのコンサートに行くのにそこまで身構える必要はありません。
コンサートホールでは専門のスタッフが会場内や座席の案内をしてくれますので、むしろ初めての方でも安心して演奏を聴きに行くことができます。
実際に地元のオーケストラの演奏会に行ってみると、中学生・高校生から年配の方までさまざまな年代のお客さんがいらっしゃるので、肩ひじ張らずに気軽に音楽に親しめる雰囲気です。
もちろん、演奏を聴く際にはマナーを守らなければいけませんが、それは他のジャンルの音楽でも同様のこと。
オーケストラの演奏会の場合、最低限「演奏中は静かにする」ということを守っていれば、大丈夫です。
演奏前の会場アナウンスや会場内の掲示に従って、気持ちよく音楽を楽しみましょう。
現在は各地方にプロオーケストラがあり、それぞれが地域に根差した音楽活動をおこなっています。
興味の湧いた方はぜひ、お住まいの地域のオーケストラの演奏会に足を運んでみてください。
オーケストラには入れるの?
ここまで読んでくださった皆さんの中にはきっと、「自分もぜひオーケストラに入ってみたい!」と思った方がいらっしゃるでしょう。
……いるかなぁ?
プロオーケストラに入るのはもちろん至難の業ですが、アマチュアのオーケストラも各地にありますので、オーケストラの演奏に参加すること自体はさほど難しくはありません。
ただし、オーケストラには弦楽器奏者が一定の人数必要になりますから、同じアマチュア団体でも吹奏楽団やジャズバンドに比べると、オーケストラの数はぐっと少なくなります。
また、楽器によっては人数がいっぱいのところもありますから、興味がある方はその団体のホームページを参照したり問い合わせたりして、よく確認してみましょう。
私は大学生の時に学生オーケストラに所属していまして、そのころ住んでいた街では他に3つほどアマチュアオーケストラ団体がありました。
オーケストラの有無で進学先を決めるのもどうかとは思いますが(笑)、現在高校生で進学を考えている方は、大学選びの際に一つの参考にしてみてもいいかもしれません。
オーケストラについてはまだまだお話しできることがたくさんありますが、まずはこの辺で。
他の記事でもオーケストラについて書いていますので、もしよかったら参考にしてみてくださいね!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
今回の私の話が、皆さんの毎日の生活の中でちょっとした潤いになれば嬉しいです!