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トランペットの音階はどうやって出すの?音程を変えるしくみ

トランペットの音階のしくみ
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トランペットへの素朴なギモン

トランペットに興味津々の全国の皆さん、こんにちは!

さて、トランペットを見て、こんな疑問を持ったことはありませんか?
「トランペットって押すところが3つしかないけど、どうやってドレミファソラシドを吹いてるの?
楽器をやっている人に聞くと、たぶん、こんな答えが返ってきます。
「トランペットはね、息でも音を変えられるんだ。指と息を組み合わせるんだよ」
そう。こんなふうに「ふわっ」とした説明でお茶を濁されがちです。

上のような説明は、私自身が実際によくしていました。
正直に言いますと、私は大学生の頃まで運指を機械的に覚えていただけで、トランペットの音が変わるしくみなんて深く考えていませんでした。
ある時、自分の楽器をしげしげと眺めていて、
「あー、こういうしくみだったのかぁ」
と、突然思い至ったわけです。
……こう書くとなんか、アホっぽいですね(笑)

「あいまいな説明じゃ分からん! 具体的に教えてくれないと、夜も10時間しか眠れない!」という皆さんのために、トランペットで「ドレミファソラシド」を出すメカニズムを、簡単に、そして完璧にお答えします!

「あら、それくらい知ってますけど? 余計なお世話はやめていただきたいものですわ、ホホホ」
という方は(どういうキャラなんだ……)、もちろん読み飛ばしていただいて構いません。
でももしよかったら、他の記事も読んでみてくださいね。

トランペットの音の高さを変えるしくみ

①「ピストン」を押すことで楽器の管が長くなる
②3つのピストンを組み合わせて半音ずつ音を変える
③さらに「倍音」を組み合わせることで音階ができる

結論から言うと、この3ステップです。

とっても簡単ですね♪
ただし、専門用語が入っているので、楽器をやったことのない方には分かりにくいと思います。

これから一つ一つご説明していきますが、その前に、まず知っておいていただきたい前提があります。

音の高さについてのキホン

音は、物が振動することによって発生します。
そして、振動する部分が大きいほど、低い音が出るのです。
トランペットは「管楽器」、つまり一本の「管」ですから、管の長さが長くなればなるほど、低い音になります。
これは、同じ金管楽器のトロンボーンを見ると分かりやすいと思います。

トロンボーンの写真
音の高さの変え方が分かりやすいトロンボーン


トロンボーンは、「スライド」と呼ばれる部分を伸ばしたり縮めたりすることで、
管の長さを自由自在に変えることができます。

普通のトランペットには、そんなに大きく伸び縮みする部分はありませんが、考え方はトロンボーンと同じです。
ではどうやって、管の長さを変えているのでしょうか?
その答えがズバリ、「3つしかない押すところ」、「ピストン」なのです!

トランペットの音の高さを変えるしくみ!

①「ピストン」を押すことで楽器の管が長くなる

改めて説明しますと、「ピストン」(「バルブ」ともいいます)というのはこの部分です。

トランペットのピストン
トランペットのピストン


3つあるこのピストンを、一つも押さずに息を吹き込んだとき、
実は、この部分しか空気は通っていません。

トランペットのメインの管
トランペットのメインの管


ピストンの下の部分をよく見ると、それぞれ一つずつ短い管がつながっていますよね。
この短い管を「抜差管」と呼びます。
3つのピストンは、この写真で左から、第1ピストン、第2ピストン、第3ピストンと名前が付いています。
ここでは分かりやすいように、1、2、3、と色分けします。

トランペットのピストンにつながっている管
トランペットのピストンにつながっている管


1を押すと、1につながっている抜差管に息が通るようになります。
2を押すと2の抜差管が、3を押すと3の抜差管が通ります。
つまり、ピストンを押すことで、そのピストンにつながる抜差管の分だけ、管の全長が長くなるのです!

②3つのピストンを組み合わせて半音ずつ音を変える

ここで、それぞれの抜差管の長さに注目してみましょう。

抜差管の長さの違い
抜差管の長さの違い


2の抜差管が、一番短いですね。
1の抜差管がその次に短く、3の抜差管が一番長いです。
ここまでくると、なんとなく分かるのではないでしょうか。

まず何も押さない状態で音を出します。
それから2を押すと、2の抜差管の分、
ちょうど半音だけ音の高さが下がるのです。
同じように、1だけを押すと全音分下がります。

それより低い音はどうするかというと、3つのピストンを組み合わせてだんだん管を長くしていくのです。
1を押したときの音より半音低い音を出すには、1と2を同時に押します。
それより半音低い音は、2と3、
そのまた半音低い音は、1と3、
そのまた半音低い音は、1と2と3を一緒に押すわけです。

写真にすると、こうなります。

ピストンを押すごとに全体の管の長さが変わる
ピストンを押すごとに全体の管の長さが変わる


何も押さない状態だと管の長さが一番短く、ピストンを全部押すと一番長くなるわけですね。
3つのピストンの押し方で、この間を半音ずつ埋めていく、ということもできます。
これが、ピストンを利用して音の高さを変える仕組みです。
上の写真で色のついている管が、息が通っている管になります。

「あれ? でもこれだと7つしか音が出ないよ? 曲を吹くには全然足りないよね?」
と思ったあなたは、鋭い!

そう、ピストンはすごい仕組みなのですが、これだけでは1オクターブ分の音も出ません。
そこで、金管楽器ならではの「ある方法」で音を変える必要があるのです。

③さらに「倍音」を組み合わせることで音階ができる

ここからは、ちょっと難しい話になるかもしれません。
ピストンの話は、いったん忘れてください。
何も押さずにトランペットを吹いたとき、通常使う音の中で一番低い音は「ド」になります。

※トランペットの音階の「ド」は、ピアノの鍵盤では「シ♭」です。
ここからは、分かりやすいように全てトランペットの音階で説明していきます。

ところで、音には「倍音」というものがあります。
音は空気を震わせる波の形をしており、1秒間の波の数を「周波数」といいます。
この周波数が、元の音の倍数になったときの音を「倍音」と呼んでいます。

※分かりやすく説明しているため、言葉が正確ではないかもしれませんが、ご了承ください。

トランペットは、何も操作しなくても、振動数を上げることでこの「倍音」にあたる音を出すことができるのです。

一番低い「ド」の次は「ソ」、その次は最初の「ド」の1オクターブ上の「ド」、
そこから上は、「ミ」→「ソ」→「シ♭」→「ド」……と続いていきます。
ずいぶんと「飛び飛び」ですよね。
これだけでは、とても一つの曲を吹けるとは思えません。

ここで、思い出してください。
そう、3つある「ピストン」です。

ピストンを使えば、何も押していない状態の音から、半音ずつ低い音を出していくことができるのです。

例として、一番低い「ド」から1オクターブ高い「ド」の音までの、
音階の出し方を説明します。

トランペットの半音階の出し方
トランペットの半音階の出し方


まずは高い「ド」の音から始めて、ピストンを使って半音ずつ下がっていきます。
つまり、2→1→12→23→13と順番に押していくわけです。
指が13を押している状態になったとき、出ている音は「ソ」です。
ここで、倍音を使います。
「ソ」は13を押しても出ますが、何も押さなくても出すことができますよね。
そしてここから、2→1→12→23→13→123と、
またピストンを利用して半音ずつ下がっていきます。
123の状態まで来たら、次は全ての指を離して、再び倍音を使います。
これで最後の「ド」の音が出るはずですね。

はい! 見事に、1オクターブの「半音階(半音ずつの音階)」ができました!

トランペットは歴史の古い楽器

トランペットで「ドレミファソラシド」を出す仕組みを文章にしてみて、改めて「トランペットって、すごい楽器だな!」と思いました。

今回は分かりやすくするために「ピストン(バルブ)」の説明を先にしましたが、
もともとトランペットは、倍音しか出せない楽器でした。
19世紀になって初めて「ピストン(バルブ)」が発明され、
音階はもちろん、自由自在に曲を演奏できるようになったのです。
時代としては、ちょうどベートーヴェンが大活躍している頃です。

逆に言えば、それよりもずっと昔からトランペットという楽器があったわけですから、
現代でもいろんな音楽の主役を務め続けているトランペットは、やっぱりすごい楽器なのですね。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
今回の私の話が、皆さんの毎日の生活の中でちょっとした潤いになれば嬉しいです!

ABOUT ME
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古閑らいこう
トランペット歴25年。小学校でマーチングバンド、高校で吹奏楽部、大学で学生オーケストラに所属し、トランペットを担当。現在は地域の子どもたちの指導にあたっているほか、ビッグバンドのコンサート等で年に数回演奏を披露。

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