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管楽器が上手くなるためには腹筋を鍛えないとダメ?

管楽器を吹くために腹筋は鍛えるべき?
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管楽器に腹筋トレーニングは必須?

日々管楽器の練習に励んでいる皆さん、こんにちは!

さて皆さんは、吹奏楽部で「腹筋を鍛える」ように言われていたり、過去に言われたりしたことはありませんか?
私が中学生・高校生だった頃は、多くの学校の吹奏楽部で腹筋運動やランニングなどのトレーニングが取り入れられていました。
私の通っていた中学校でも、吹奏楽部では毎日腹筋運動をしていたようですし、放課後になると吹奏楽部員が走り込みをしている姿をよく見かけたものです。
(ちなみに、私は中学生の時は吹奏楽部に入っていませんでした)
私の高校の吹奏楽部では、特に腹筋やランニングなどは課せられていませんでしたが、ある時友達に「腹筋やろうぜ!」と言われて、一緒に腹筋運動をしていたことがあります(いつの間にかやらなくなってしまいましたが)。

「管楽器の上達のためには、腹筋の鍛錬が必要」ということが、以前は当たり前のように言われていたのは確かです。
今でも、そのように指導している学校は結構あるのかもしれません。

でも、管楽器の演奏が上手くなるためには、本当に腹筋を鍛えないといけないのでしょうか?
今回は、私なりにその疑問への答えを出してみたいと思います。

演奏法にはいろんな考え方がありますし、取り組むジャンルによっても練習方法は変わってきます。
ですから、今回の私の話は一つの考え方として受け止めていただければ幸いです。

演奏中に腹筋はどう使われる?

部屋で一人トロンボーンを吹く男性

さて、そもそも「腹筋を鍛えろ!」という指導は、何を意図したものなのでしょう?

・しっかりとした音を出す
・音を持続させる
・スタミナをつける

といったところが、腹筋を鍛える目的なのだと考えられます。
いずれも「音を出す」ことにつながるものですね。

では、音を出すための源となるのは、何でしょう?
それは、言うまでもなく「」です。
木管楽器と金管楽器では音を出す仕組みは異なりますが、どの管楽器でも息を吹き込まないことには音は出ません。

私たち人間の身体は、筋肉によって動いています。
筋肉が動かないことには、瞬き一つできません。
「息を吸う」「息を吐く」という動作も、当然筋肉の働きによってなされています。

呼吸の仕組みは、大まかにイメージできると思います。
横隔膜が上下することによって肺の体積が増減し、それによって肺の中に空気が入ったり、肺の外へ空気が出されたりするわけですね。
ただ、呼吸運動の際には横隔膜だけではなく、周囲のいろいろな筋肉が動いています。
その中で、「意識して息を吐き出す」ときに作用するのが、腹直筋や外腹斜筋などのいわゆる「腹筋」です。

管楽器で音を出すときには「意識して息を吐き」出しますから、演奏の際にはちゃんと腹筋が働いている、ということになります。
そう考えると「腹筋を鍛える」トレーニングには、きちんと意味がありそうに思えます。
腹筋が強くなれば、大きな音も出せそうですし、長時間吹いてもバテなくなりそうな気がしてきますよね。

でも、ちょっと待ってください。
ここには「大きな落とし穴」があります。

ちゃんと息してる?

話を少し戻します。
管楽器で音を出すためには、「息を吹き込む」ことが必要です。
「吹き込む」には、その前に当然「息を吸わなくては」いけません

皆さんは、演奏の時にちゃんと息を「吸って」いますか?
そして吸った息をちゃんと「吐き出して」いますか?

「当たり前じゃん! ブレスは基本でしょ!?」
と思った方も、演奏している時の自分をちょっと思い返してみてください。

合奏中に自分が吹くフレーズが出てきたら、その前に息を吸っていると思います。
特に「フォルテ」と書いてある場合などは、意識して息を大きく吸っているのではないでしょうか。
そして音を出して、次のフレーズの前でまた息を吸いますよね。
その時、肺の中に「息が余っている」ように感じることはありませんか?

大きな音を出しているのに、あるいは長いフレーズを吹いているのに、息が余ってしまう。
そんなときの、自分の「喉の状態」をちょっとイメージしてみてください。
「喉が閉まった」ような、苦しい状態になっていることはないでしょうか?

吹奏楽部では「息を大きく吸う」ことが大切だと教わることが多いと思います。
でも、一息でフレーズを吹いた際に、息を吐き切らないと次のブレスはスムーズにできません。
息が余っているのにもっと息を吸い込もうとすれば、苦しくなるのは当たり前ですよね。
ブレスというのは、実は息を吸うことよりも吐き切ることの方が重要なのです。
ワンフレーズで息を全て吐き切れば、次のフレーズの前には自然と必要な息を吸い込むことができるからです。

息を「上手く吐けない」「使いきれない」原因は、多くの場合「腹筋が弱いから」ではありません
息を吐くのを「邪魔する何か」があるからです。
ほとんどの場合、それは「喉の状態」だと私は考えています。

緊張しているときや、上手く音を出せるか不安なときには、喉が締め付けられるような状態になることがあります。
大きな音を出そうと過度に力んだときにもそうなります。
スムーズに息を吐いて自然に音を出すためには、何よりも喉をリラックスさせることが大事です。
これは精神状態や心理状態が大きく関わってきますから、一朝一夕でできることではないかもしれません。
私自身、イマイチ「ノれない」曲を吹くときには、どうしても喉が締め付けられる感じがしてしまいます。
私も現在進行形で試行錯誤している課題の一つでもあります。

まずは息を上手く使おう!

スムーズに息を吐けないときに、腹筋を使って無理矢理音を絞り出そうとするのは、決して良い方法ではありません
腹筋に力を入れて息を絞り出そうとすると、お腹だけでなく全身に力が入ってしまいます。
力みまくって全身ガチガチの状態で音を出すと、当然疲れやすくなり、音も硬くなります
リラックスして音を出せる方が音質が豊かになるうえに、余裕が出てくるので表現の幅も広がります

「管楽器の演奏が上手くなるためには、腹筋を鍛えないといけないのか?」
その答えは、ズバリ「No」です。
もっと正確に言えば、「腹筋を鍛えるトレーニングの優先度は低い」ということになります。
まずは、スムーズな呼吸を心がけること。
出来れば、どんな曲でもリラックスして自然に息を吸ったり吐いたりして、楽に演奏できることを目指してください。
それでも足りないくらいに大きな音を出さないといけない場合、または極端に長いフレーズを一息で吹かなけらばならない場合、初めて強靭な腹筋が必要になります。
でも、そんなことが要求される場面はほとんどありません。
腹筋を鍛えるのに費やす時間があるなら、スムーズな呼吸を意識して基本練習や曲の練習に取り組んだ方が有益です。
金管楽器の場合は特に、「楽に吹くこと」を意識することが、あらゆる面で上達への近道になります。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
今回の私の話が、皆さんの音楽人生に少しでも役立てば嬉しいです!

ABOUT ME
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古閑らいこう
トランペット歴25年。小学校でマーチングバンド、高校で吹奏楽部、大学で学生オーケストラに所属し、トランペットを担当。現在は地域の子どもたちの指導にあたっているほか、ビッグバンドのコンサート等で年に数回演奏を披露。

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