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オーケストラトランペットの「移調読み」「読み替え」とは?

オーケストラトランペットの楽譜の移調読みについて
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「移調読み」とは?

皆さん、こんにちは!

このページを開いている方の多くは、学生オーケストラやアマチュアオーケストラでトランペットを吹くことになった、という方ではないかと思います。
あるいは、普段は吹奏楽団などでトランペットを吹いていて、別の団体からのお誘いでスポット的にオーケストラの曲を吹くことになった、という方もいらっしゃるかもしれません。

いずれにせよ、オーケストラでトランペットを吹く際の一番の「壁」は、曲の難しさでも、サウンドの作り方でもありません。
ズバリ、「楽譜の読み方」です!

「え? 吹奏楽でトランペットが吹けるんだったら、楽譜なんて読めるに決まってるじゃん?」と思った方!
試しに次の楽譜を見て、譜面どおりに吹いてみてください。
今実際に楽器を吹ける状況にない方は、頭の中で実際に吹く音をイメージしてみてください。

「in F」のドレミファソラシド

この楽譜を見て、トランペットの「ド(B♭)」の音から吹き始めた方はいらっしゃいますか?
その方は、残念ながら不正解です!

正解は、こちら。

「in F」から「in B♭」への読み替え

最初に示した音階を、実際にトランペットで吹く音で書き直した楽譜です。
ご覧のとおり、正解は「ソ(F)」から始まる音階だったのです。

「えー? だって、楽譜ではどうみても『ド(B♭)』から始まってるじゃん! なんでそれが『ソ』から始まる音階になるんだよ!」
と思った方、最初の楽譜をもう一度よくご覧になってみてください。
特に、左上のあたり。

「in F」のドレミファソラシド(「in F」に赤丸)

そう! コレです!
「in F」と書いてあるのが分かりますね?

これは「この楽譜の『ド』の音は、『F』の音なんやで」という意味です。
なので、楽譜に「in F」と書いてあったら、トランペットでは「ド」はF(ソ)、「レ」はG(ラ)……というように吹かないといけないわけですね。
このように、オーケストラのトランペットの譜面は「『ド』の音が実際には何の音を示すか」が書いてあることがほとんどです。
こうした楽譜に書かれている音符を、一般的なB♭管のトランペットで吹くために別の音に読み替えるテクニックを「移調読み」または「読み替え」と呼びます。

今回は、この「移調読み」の具体的なやり方をご紹介していきます。
私がオーケストラにいたときに、実際にやっていた方法です。

ちなみに、この先はいわゆる「ドイツ音名」が分かることを前提に書いています。
もしドイツ音名が分からない方は、別の記事で詳しく解説していますので、そちらを先にお読みになることをオススメします。

どうやって読んだらいいの?

先ほどは「in F」、つまり「この楽譜の『ド』の音は、『F』の音なんやで」と指定された譜面を例としました。
でも実際のオーケストラでは、「in A」「in H」「in C」「in D」「in Es」「in E」といった具合に、曲によって譜面上の音符をさまざまな音に読み替えなければならないことがほとんどです。
このように、「どの音を『ド』にするか」という基準を「調」とか「調性」とか呼びます。
「ハ長調」とか「ニ短調」とか言うときの「調」ですね。

「そんなに調が違う楽譜ばっかりなの? もぅマヂ無理。。。
と思った方も、諦めないでください。
私も、大学入学後に学生オーケストラに入って初めてトランペットの譜面を見たときは「もぅマヂ無理。。。」ってなりました。
オーケストラでは「in B♭」という楽譜は、ほぼ見たことがありません。

では、実際にどうやって読んだら良いのかを、パターン別にご紹介していきます。
どの場合も、一般的な「B♭管」のトランペットで吹くことを前提としています。

移調読みの具体的な方法

① ド(B♭)から一定音ずらす
② 新たな音階として覚える(in F)
③ ①②を組み合わせる(in E・in Es)

① ド(B♭)から一定音ずらす

移調読みの基本的な考え方です。
トランペットの調であるB♭を基準にして、楽譜で指定されている調がどれだけ高いか、あるいは低いかを把握し、その分だけ譜面上の音符の高さをずらします
と言っても文章だけでは分かりにくいと思いますので、また楽譜を見ながら考えていきましょう。
今度は「in H(ハー)」の楽譜と、これを「in B♭」に書き替えた楽譜です。

「in H」のドレミファソラシド
「in H」から「in B♭」への読み替え

HはB♭と比べて半音高いので、譜面上の音符よりも半音高く吹けば良い、ということになりますね。
※ドイツ式に「H」と表記しているので、「B♭」も本来は「B(ベー)」と表記すべきところですが、英音名の「B(ビー)」と紛らわしいので、あえてフラットを付けています。

今度は、「in A(アー)」の楽譜を例にとってみましょう。

「in A」のドレミファソラシド
「in A」から「in B♭」への読み替え

AはB♭よりも半音低いですよね?
なので、今度は譜面上の音よりも半音低い音を吹けば正解、ということです。

同様に考えると、「in C」なら全音(二度)、「in D」なら全音二つ分(三度)高くすれば良いわけです。
ね、簡単でしょ?
……といっても、最初から頭の中で音を変換しながら吹くのは大変。
頭がこんがらがって演奏どころではなくなりますよね。
ですから、慣れるまでは楽譜上に実音(実際に鳴らす音)を書き込むなどして覚えると良いでしょう。

② 新たな音階として覚える(in F)

それでは、最初にご紹介した「in F」はどうでしょう。
これも、先ほどの例を考えれば簡単。
FはB♭よりも五度(完全五度)高い音ですので、楽譜上の全ての音を五度上げれば吹けますね。
……と言われてすぐにできる方はそれで良いのですが、これはなかなか大変だと思います。
考えようによっては、これを機に全ての音の音程関係を頭に入れるという方法もありますし、長期的な視点で考えればその方が良いのかもしれません。

ただ、それよりも簡単な方法があります。
それは、「in F」の読み方を新たに覚えてしまうことです。
誰でも生まれて初めて五線譜を見たときは「?」だったわけですから、新しく別の読み方を覚えるのはそれほど大変ではない……ハズです。

「in F」のドレミファソラシド(実音名付き)

この場合も、慣れるまでは上の画像のように実際に吹く音を楽譜に書き込むのも手です。
覚え方のコツとしては「楽譜上の音符よりも二つ上の線上にある音」と考えると分かりやすいです。
慣れると、「in F」の楽譜を渡されてもすんなりB♭管で吹けるようになります。
いや、ホントに。

③ ①②を組み合わせる(in E・in Es)

移調読みの最大の難関は、何と言っても「in E」(※個人の感想です)
B♭から音が遠く、しかも「#」がわんさか付いてくるので、読みにくいったらありゃしない。

ところが!
「in F」が読めるようになった皆さんにとっては、「in E」なんてもう怖くない!
ヒントは、E(エー)とF(エフ)の音程。
EはFよりも半音低い音ですよね?

「in E」から「in B♭」への読み替え

まずは、「in E」の楽譜を「in F」だと仮定して、音符を変換します。
それからその音を半音下げれば……ほら、実音に!
このようにすれば、もはや「in E」なんて「in B♭」も同然、と言っても過言ではないでしょう!
……すみません、過言かもしれません。

同じようにして「in Es」も、いったん「in F」読みして全音下げれば「in Bとして読むことができます。

以上で、オーケストラで出現する移調楽譜は大体カバーできるかと思います。

なぜ楽譜の調がこんなに違うの?

頭を抱える人

ところで、オーケストラのトランペットの譜面は、どうしてこんなにも調がバラバラなのでしょう?

その理由は、トランペットという楽器の歴史と深く関わっています。
昔のトランペットは今のような形ではなく、一本の楽器でいろいろな曲を演奏するのは困難だったそうなのです。
楽曲に合わせて管の長さの違うトランペットをいちいち用意しなくてはいけなかったのですね。
管の長さが違えば楽器の調も変わりますから、楽譜もそれに合わせて書かれていた、という事情があったわけです。

同様に、クラリネットやホルンの楽譜ももさまざまな調で書かれており、移調読みが必要になります。

ちなみに20世紀以降に書かれた曲は、「in B♭」で書かれていることが多いのですね。
これは、今のように安定したB♭管のトランペットが作られ、普及していったからです。
もしB♭管が主流にならず、今でも曲ごとにいろんな調のトランペットが使われていたら、吹奏楽やジャズでも移調読みをする羽目になっていたかもしれませんね。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
今回の私の話が、皆さんのトランペットライフに少しでも役立てば嬉しいです!

ABOUT ME
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古閑らいこう
トランペット歴25年。小学校でマーチングバンド、高校で吹奏楽部、大学で学生オーケストラに所属し、トランペットを担当。現在は地域の子どもたちの指導にあたっているほか、ビッグバンドのコンサート等で年に数回演奏を披露。

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