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トランペットの練習にバズィングは必要!?正しいやり方はあるの?

バズィングは必要?正しいやり方はコレ!
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「バズィング」とは?

全国のトランペット吹きの皆さん、こんにちは!
今日の練習の調子は、どうでしょうか?
「調子が悪い」という人は、無理せず、自分のペースで続けてくださいね!

さて、皆さんは「バズィング」という用語を聞いたことがあるでしょうか?
「バズィング」というのは金管楽器に特有の用語で、楽器の本体を使わず「マウスピースだけ」あるいは「唇だけ」で音を出す技法のことです。
バズィングという言葉を初めて聞いたという人も、一度は練習の中でやったことがあるのではないでしょうか。
私にとっては、トランペットとのファーストコンタクトがまさにバズィングでした。

私は小学生の時、マーチングバンドでトランペットを担当していました。
ただ、最初からトランペットを手にして音を出すことはできませんでした。
初めて練習に参加した時、渡されたのはマウスピース、それもプラスチック製の「練習用マウスピース」だけだったのです。
「マウスピースだけで音を出せないうちは、楽器を付けても絶対に音は出せない!」
先生が言ったのか、それとも先輩だったかは忘れましたが、金管楽器担当の新人全員がそう言われたのを覚えています。
それからというもの、放課後の音楽室での練習時間はもちろん、練習用マウスピースを持ち帰って家でも毎日音を出す練習を続けました。
そして1カ月後。
晴れて銀色に輝くトランペットの「本体」を手渡された日。
ドキドキしながらマウスピースをトランペットに差し込み、恐る恐る息を吹き込むと、音楽室に一筋の音が――それは紛れもなく「トランペットの音」!
初めて「自分の音」を出せたという感激はもちろんあったのですが、思った以上にあっさり音が出たので、拍子抜けした……というのが正直な感想です(笑)。

唐突に個人的な体験談を始めてしまいましたが、私が初めて楽器の練習として課せられた「マウスピースだけで音を出す練習」が、まさに「バズィング」だったというわけです。

その後、中学校では一度楽器から離れたのですが、高校では吹奏楽部、大学では学生オーケストラに所属し、いずれもトランペットを演奏していました。
高校でも大学でも、金管楽器の人はウォーミングアップや個人練習でバズィングを行っていることが多かったと記憶しています。

しかしこのバズィング、「必要ない!」と主張する人もまた多いのも事実です。
プロの奏者でも「バズィング必須派」と「バズィング不要派」に意見が分かれているそうです。
皆さんの中にも、部活内の「必須派」「不要派」の間で板挟みになり、「どっちが正しいの!?」と悩んでいる方がいらっしゃるかもしれません。

なぜ、バズィングを巡ってこうも意見が割れてしまうのか。
果たして、バズィングは必要なのか、不要なのか。
結論を出す前に、まず「何のためにバズィングをするのか?」ということを考えてみたいと思います。

バズィングをするのは何のため?

先ほど、私が小学生の時に「マウスピースだけで音が出せないと、楽器を付けても音は出ない」と教えられた、というお話をしました。
これを言い換えると、「バズィングができないと金管楽器で音を出すことはできない」ということになります。
しかし、実はこの考え方は完全な誤りです。
マウスピースだけで音が出せなくても、トランペット(および他の金管楽器)で音を出すことは可能です。
実際、今の私はマウスピースでバズィングをしようとしても上手く音が出ないことが多々あります。
でも、トランペット本体にマウスピースを装着して息を吹き込めば、問題なく音が出るのです。

そもそも、トランペットなどの金管楽器は、どのような仕組みで音が出るのでしょうか。
「まず唇を振動させ、その振動を楽器に伝えて音を出す」と考えている方が、意外に多いのではないかと思います。
これが、順序としては実は間違っているのです。
「楽器に息を吹き込み、その過程で唇が自然に振動して音が出る」というのが正しい順番です。

トランペットの間違った吹き方
よく誤解されるトランペットの吹き方のイメージ
トランペットの正しい吹き方
トランペットの正しい吹き方のイメージ

「えぇ、ほんとぉ~?? テキトー言ってんじゃないのぉ~??」とお疑いの方もいるかもしれませんので、ここで書籍からの引用を挟みます。

当時の私はトランペットに対する知識などまるでありませんでしたから、疑うことなく毎日毎日唇を引っ張り、力まかせに唇をビービー鳴らしていたのです。
 しかし! この方法だと、自力で振動させたその唇をマウスピースにかぶせて音を出す、という考え方になってしまいますね。そうだよね?と思っている経験者もいるかもしれませんが、実はこれは本当のトランペットの吹き方ではありません。中学生のときに私がとても苦労していたように、何もない状態でバズィングをしようとすると口周辺の筋力で唇を強く締め付けなければならず、そのせいでトランペットを吹くのは大変だ、と思ってしまう理由の一つになるのです。
 現在の私はトランペットやマウスピースがない状態で、いつも吹いている口の形を作ってもバズィングをすることができません。ただ息がスースー流れるだけなのです。しかし、マウスピースを唇に当て、息を入れると音が出ます。

出典:荻原明「まるごとトランペットの本」(2014年 青弓社)103頁

金管楽器の練習で「バズィングが絶対に必要」だと考えている方の中には、「バズィングができないと金管楽器で音を出せない」と思い込んでいる方もいるかもしれません。
そしてバズィングを「唇をきちんと振動させるための」練習と捉えているからこそ、バズィングが必須だと考えてしまうのではないでしょうか。
しかし、すでにお話しした通り、体内から楽器へと正しく息を流すことができていれば、唇は自然と振動します。
「まず唇を振動させなければ!」と思い込んでいると、意識が唇だけに偏ってしまい、かえって余計な力が入ったり、息の使い方がおろそかになったりと、弊害ばかりが大きくなってしまうのです。

つまり、「唇を振動させる練習」としてのバズィングは、全く不要ということになります。

「えっ! さっき『プロの奏者でも意見が分かれている』って言ってたじゃん! じゃあ『バズィング必須派』のプロの立場はどうなるのさ! この嘘つき! ペテン師! 転○屋!」と思った方、どうか慌てないでください。あと○売屋ではありません。
バズィングが有効だと考えられる場面もちゃんとありますので、次はそのお話をしたいと思います。

バズィングの正しいやり方とは?

どんな練習でも、その効果を最大限にするためには「何のための練習なのか」を理解しなければなりません。
スポーツでも同じで、短距離走者と長距離走者では鍛えるべき筋肉が全く違うことからもわかるかと思います。

バズィングと同じく、管楽器奏者の間で意見が分かれる練習メニューとして「腹筋の鍛錬」が挙げられます。
演奏の際の腹筋の役割を考えず、闇雲に腹筋を鍛えても全く意味がありませんし、逆に目的意識がはっきりしていれば、腹筋の鍛錬も効果的なトレーニングとなり得ます。
管楽器演奏における腹筋トレーニングについては別記事で取り上げていますので、ご参照ください。

さて、もうおわかりかと思いますが、バズィングについても全く同じことがいえます。
「唇を振動させる練習」としてのバズィングに意味がないことは、すでにお話ししたとおりです。
より実感していただくために、試しにトランペットからマウスピースを抜いて、バズィングで音を出してみてください。
音が出たら、今度はマウスピースをトランペットに装着して、楽器の音を出してみてください。
その際、音を出している時の唇の感覚はどうでしょうか。
多くの人は、マウスピースだけのときと、楽器を付けたときで「感覚が違う」と感じるのではないでしょうか。
マウスピースだけで音を出そうとすると、まさに「唇の振動」に意識が向いてしまうため、トランペットそのもので音を出すときとは唇の筋肉の使い方に違いが出てきます。
このように意識を向けると、マウスピースで音を出そうとする練習は、トランペットでしっかりとした音を出すためにはあまり効果的でないということが実感できると思います。

では「バズィングは全く無意味なのか?」というと、そうとは言い切れません。
繰り返しになりますが、「何のために行う練習なのか」をしっかり理解していれば、練習の効果はきちんと現れてくるのです。

ここで、トランペットの音が出る仕組みについて再確認してみましょう。
「息を吹き込むことで唇が振動して音が出る」という流れでしたよね。
つまり、正しい息の流れを意識してバズィングを行えば、「息の流れに従って自然に唇が振動しているか」を確認することができる、ということになります。

長い期間楽器を吹いていなかったとき、またはその逆に、楽器を吹きすぎて唇の筋肉が疲れてしまったとき、自分の音をしっかり出すための唇の形が崩れてしまいがちになります。
そういった際に、マウスピースを唇に軽く当て、タンギングせずにリラックスして息を吹き込んでみてください。
音が出なくても全く問題ありません。
自然と唇の両端が収縮し、唇の中央部分が無理なく振動する形が実感できるかと思います。
練習の合間に、休憩がてらやってみるのもいいかもしれません。
この時、長時間マウスピースだけで吹いたり、無理に音を出そうとしたりしないことが大事です。

①唇をマウスピースに軽く当てる
②楽器で音を出すときの息の流れを意識する
③無理に音を出そうとしない

バズィングを効果的に取り入れよう!

ここまで、バズィングについてお話してきました。
またもや繰り返しになりますが、トランペットの練習において大切なのは、あくまでも自然な息の流れを意識することです。
そのために、バズィングという練習方法を取り入れるか、取り入れないかは、楽器を吹くあなた次第、ということになるのです。

なお、最初の方で少しだけ触れましたが、バズィングにはマウスピースだけで吹く方法のほかに、何も使わず唇だけを振動させる方法もあります。
正直、私は唇だけでのバズィングは上手くできません。
楽器を吹く感覚とあまりにも違うので、上手くできたとしても演奏に生かすのは難しいのではないかと思います。
ただ、力を入れずに唇全体をブルブル震わせるのは、練習の合間のリフレッシュとしては良いかもしれません。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
今回の私の話が、皆さんのトランペットライフに少しでも役立てば嬉しいです!

ABOUT ME
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古閑らいこう
トランペット歴25年。小学校でマーチングバンド、高校で吹奏楽部、大学で学生オーケストラに所属し、トランペットを担当。現在は地域の子どもたちの指導にあたっているほか、ビッグバンドのコンサート等で年に数回演奏を披露。

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