ドイツ音名とは?
今日も楽器の練習に励んでいる皆さん、こんにちは。
そしてお疲れ様です。
疲れたら、無理せず休みながら練習してくださいね。
ところで皆さんは、楽譜上の音符(ドレミファソラシド)をどんなふうに呼んでいるでしょうか。
「ん? ドイツ音名で言ってますけど? 普通そうじゃない?」
という方は、今回の記事は読み飛ばしてくださって結構です。
(そういう方は記事のタイトル見た時点でスルーしてると思いますが)
さて、誰もが知っている「ドレミファソラシド」という呼び方は、実はイタリア語。
ドイツ音名は、その名の通り「ドレミファソラシド」をドイツ語で言い表したものです。
吹奏楽やオーケストラでは、このドイツ音名を使う場面が多いです。
というより、「ドレミファソラシド」を使うことがほとんどない、と言った方がいいかもしれません。
吹奏楽部に入ったばかりの時、部員や先生が
「〇〇くん、その『ベー』の音、ちょっと低いよ!」
「今のところで『ツェー』を吹いてる人、もっと出して。『ゲー』の人はもっと抑えて!」
なんてしゃべってるのを聞いて、面食らった人も多いのではないでしょうか。
「ツェー」とか「ギス」とか、日常ではまず言わない発音ですからね。
私は高校で吹奏楽部に入部し、そこで初めてドイツ音名というものに触れましたが、
案外抵抗なく覚えることができました。
その理由についても、この後でお話ししていきます。
「ドイツ音名になかなか馴染めない」という方はもちろん、
すでにドイツ音名を普通に使っているという方も、よろしければこの記事の続きをぜひ読んでみてください。
吹奏楽部以外の方で「吹奏楽部ってどんなところなの?」と思っている方は、こちらの記事もどうぞ。
何のために覚えるの?
そもそも「ドレミファソラシド」という呼び方が一般的に定着しているのに、
なぜわざわざドイツ語の呼び方を覚えなくてはならないのでしょうか。
もちろん、そこにはきちんとした理由があります。
ドイツ音名を用いるのは、「音の高さを正確に言い表すため」なのです。
どういうことかと言うと、例えばトランペットの音階は、ピアノの音階とは異なります。
トランペットの「ド」は、ピアノの鍵盤で弾くと「シ♭」の音になります。
つまり、トランペットの音階はピアノの音階より全音分低いということなのですね。
(私は、小学生の時にこれに気づいてびっくりしました)
これに対して、フルートやオーボエはピアノと同じ音階が出るようになっています。
吹奏楽では当然、これらの楽器が一緒に演奏に加わりますから、
例えば指揮者が、
「フルートとトランペットの人、一緒に『ソ』を吹いてみて」
と指示した場合、トランペットはフルートより全音分低い音を吹いてしまうわけです。
当然、音は合わなくなりますよね。
これに対して、ドイツ音名では必ずピアノの音階に従った音の高さを示します。
つまり、どの楽器であろうと、同じ高さの音を表すことになるわけです。
吹奏楽やオーケストラのように音階(調性)の違う楽器が数多く集まった音楽では、このドイツ音名を使わないと混乱してしまう、ということなのです。
まずはアルファベットから!
それでは、さっそくドイツ音名を覚えましょう!
……と言いたいところなのですが、ちょっとその前に。
私としては、いきなりドイツ音名を頭に叩き込みのではなく、もうワンステップ踏んだ方が良いと考えています。
それには、初めの方でお話しした、私がドイツ音名をすんなり覚えられた理由が絡んできます。
私は中学校では吹奏楽部には入部しなかったのですが、エレキギターに興味を持ち、教本などを読みながら練習していました。
ギターそのものは挫折してしまったものの、コードの基本といくつかのコードネームを覚えていたため、自然と「英音名」が頭に入っていました。
もうお分かりかと思いますが、「英音名」というのは「ドレミファソラシド」の英語版です。
英音名だと、「ドレミファソラシド」はアルファベット表記で「CDEFGAB」となり、
読み方はそのまま「シー・ディー・イー・エフ・ジー・エー・ビー」です。
半音分上下する場合、アルファベットの後ろにシャープやフラットが付きます。
ドイツ音名というのは、このアルファベットをドイツ語読みしたものです。
私が高校で吹奏楽部に入った時、ドイツ音名を簡単に覚えられたのは、音符をアルファベットに変換することがすでにできていたからでした。
というわけで、ドイツ音名を覚えるためのステップとしては、
①まず「ドレミファソラシド」をアルファベットに変換する
②アルファベットをドイツ語読みする
という順番がいいと思います。
英音名とドイツ音名の一覧
ということで、お待たせしました。
こちらが英音名とドイツ音名の対照表です。
画像を見ていただくと、英音名とドイツ音名のアルファベット表記が違うところが一か所だけあるのがわかるかと思います。
英音名「B(ビー)」が、ドイツ音名だと「H(ハー)」になっていますね。
ではドイツ音名には「B」はないのかというと、実はありまして、
ドイツ音名の「B(ベー)」は、英音名では「B♭(ビーフラット)」にあたります。
ややこしいですが、この点に気を付ければ、あとは発音の違いだけになります。
ドイツ語は英語と似ているので、それほど抵抗なく覚えられるのではないでしょうか。
「F(エフ)」はそのままですし、「A(アー)」や「E(エー)」はほぼローマ字読みですね。
もう一つややこしいのは、半音階です。
ドイツ音名での半音階は、シャープはアルファベット読みの後ろに「is(イス)」、
フラットはアルファベット読みの後ろに「es(エス)」が付きます。
「E♭」の「Es(エス)」、「A♭」の「As(アス)」が特殊ですが、それ以外は法則通りですね。
英音名、つまりアルファベットから入った方がいい理由としては、
他のジャンルの音楽にも対応できるようになるから、というのが大きいです。
例えば、ギターのコードネームは「Cm」「Gsus4」のようにアルファベットから始まりますが、このアルファベットはコード(和音)のルート(根音)を示しています。
どんなに複雑なコードでも、この原則は変わりません。
英音名とドイツ音名の関係が頭に入っていれば、少なくともこのルートの音が何なのかはすぐにわかりますから、コードの理解も早まるでしょう。
トランペットの音階のドイツ音名!
上の表を覚えれば、これでドイツ音名も完璧!
……かといえば、そうは問屋が卸しません。
初めの方でお話ししたとおり、トランペットとピアノでは調性(音階)が違います。
上に示した表は、あくまでピアノの音階に準じたもの。
ということは、トランペットの音階をドイツ音名で表したい場合、上の表の音を一つずつ下の音にずらす必要があるのです。
一つ一つの音符を頭の中で変換させた方が理解は深まるのですが、
実用面を考えれば、トランペットの音階を別に覚えてしまった方が早いです。
というわけで、トランペット版のドイツ音名音階です。
トランペットを吹いている方は、
「この表だけ出してくれれば、覚えるの一つで済んだじゃん! この嘘つき! 詐欺師!」
と思うかもしれません。
しかし、調性や和音などの理解を深めるためにも、ピアノなどの「C」から始まる音階を覚えておいた方が絶対にいいです。
トランペットの音階のドイツ音名を覚えるとき、私が高校時代に先輩から教わったコツは、
「『ドシラソファミレド』の順、つまり逆順で覚えると覚えやすいよ」
ということでした。
つまり、
「ベー・アー・ゲー・エフ・エス・デー・ツェー・ベー」
の順に言うと覚えやすい、ということです。
確かに、この順番の方がリズミカルで語感もいいですよね。
よろしければ、参考になさってみてください。
ちなみに、音名の表し方には日本語も存在しています。
日本語の音名表記は、音名を「いろはにほへと」に置き換えたもので、調性を表す際に「ハ長調」「ニ短調」といった具合に表記します。
クラシックの曲名の後ろについているアレ、ですね。
日本語音名は、英語やドイツ語に比べると、使用頻度は圧倒的に少ないです。
正直、私も「ハニホヘトイロハ」で言われてもすぐにはピンときません。
もし余裕があったら、覚えておいて損はないです。
こうした音楽の「決まりごと」はめんどくさいと思われがちですが、
その一つ一つに意味がありますし、覚えておけば必ず音楽への理解を深めるのに役立ちます。
ぜひ参考にしてください。
「トランペットがもっと上手くなりたい!」と思っている方は、こちらの記事も参照してみてくださいね。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
今回の私の話が、皆さんの音楽人生に少しでも役立てば嬉しいです!