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【トランペット】「練習を1日休むと3日戻る」って本当!?

1日休むと3日戻る?
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「1日休むと3日戻る」ってどういうコト?

吹奏楽部の先輩や顧問の先生から「練習を1日休むと、3日戻るんだぞ」と言われたことはないでしょうか。
入部したばかりの楽器初心者の方は「ちょっと何言ってるか分かんない」と思うかもしれません。
「1日休むと3日戻る」というのは、すなわち「楽器の練習を1日休むと、3日前の状態に戻ってしまう」、つまり「3日分の練習成果がなくなってしまう」という意味です。
最初に言い出したのは誰なのか、どのような経緯で広まったのかは分かりません。
しかし、全国のかなり広い範囲にわたって、しかもずいぶん昔から言い慣わされてきた、吹奏楽部における「格言」のようなもののようです。
そして、「1日休むと3日戻る。だから、毎日練習しなさい」という文脈で使われることがほとんどのようです。

私自身、高校時代にトランペットの複数の先輩からこの言葉を聞きました。
この言葉を、部員みんなが疑うことなく信じきっていたわけではないと思います。
でも、私の所属していた吹奏楽部では、トランペットに限らず「金管楽器は毎日練習しないとダメだ」という暗黙の了解のもと、練習に励んでいたのは確かです。
インターネットでこの言葉を検索してみると「全く根拠のないデタラメ」という方もいれば、「3日どころか1週間戻る」という方もいらっしゃって、賛否は分かれているようです。

果たして、本当のところはどうなのでしょうか?
そして、トランペットを含む管楽器は、本当に1日でも練習をサボると下手になってしまうものなのでしょうか?

本当に1日休むと3日戻るの?

トランペットを吹く女の子

私は、高校時代に吹奏楽部でトランペットを吹いていて、先輩に「1日休むと3日戻るんだよ」と言われました。
なので、「3日戻る」というのは「アンブシュア」のことだと考えました。

「アンブシュア」というのは、ごく簡単にいうと「楽器を吹くときの口の形」のことです。
トランペットの場合、「唇の両端は締めて固定」し、「唇の中央付近はリラックス」させるのが基本的なアンブシュアです。
特に、初めてトランペットに挑戦するときは、このアンブシュアを定着させるのに長い時間をかけなくてはなりません。
アンブシュアが安定しなければ、しっかりとした音を出すことができないのです。
もう何年もトランペットを吹いているという方でも、初心者のころは苦労したのではないでしょうか。
「ドレミファソラシド」という基本の音階でさえ、繰り返し繰り返し、何日も何日も練習して、ようやく安定して吹けるようになるのです。

このアンブシュアの感覚というのは、長く楽器に触れていないとすぐに忘れてしまいます。
ゲーム機やPCなどのアクションゲームで、コントローラーを操作する感覚を思い浮かべてみてください。
しばらく遊んでいないゲームを久しぶりにやると、なかなか上手く操作できませんよね。
トランペットで音を出す感覚も、せっかく練習を積み重ねて唇に覚えさせても、練習を少し休んでしまうと思い出せなくなることがあります。
「1日休むと3日戻る」とは、この状態のことをいうのではないかと思います。
ただ、本当に3日前の状態に戻ってしまうのかどうかは、実験でもしない限り分かりません。

楽器を長期間吹かないとどうなる?

では仮に、練習を1日どころか、年単位で休んでしまったらどうなるのでしょうか。
極端な例ですが、私自身の体験をお話しします。

私は小学生のころ、マーチングバンドでトランペットを吹いていました。
4年生の途中から6年生の途中までなので、実質的な期間は2年間くらいだったと思います。
小学生とはいえ、当時の練習は厳しいものでした。
曲の難易度も高く、小学生にとっては結構高いキーが登場するうえ、ソロもありました。
吹きこなせるようになるまでには、かなり苦労したという記憶があります。
このように、マーチングバンドが非常に辛かったこともあり、中学校では吹奏楽部には入らず、楽器とは無縁の3年間を過ごすことになります。

そして中学校を卒業し、晴れて第1志望の高校に入学できた私の胸に「またトランペットを吹きたい」という気持ちが沸き起こってきました。
吹奏楽部の門を叩き、念願どおりトランペットを手にした私。
当然ながら「3年も吹いていなかったのだから、音はだいぶ出なくなっているだろうな」という想像はしていました。
しかし同時に「小学生時代にあんなに厳しい練習を経験してきたのだから、少し練習すればまた以前のように吹けるようになるだろう」という楽観的な気持ちも持っていたのです。

ところがどっこい。
3年間の空白がもたらした演奏レベルの劣化は、お気楽な私の予想をはるかに超えてしまっていたのです。
確かに、何日かの練習を経て、無事に音は出るようになりました。
しかし、マーチングバンドでトランペットを吹いていた時の感覚は、どれだけ練習しても、戻ってくる気配が全くなかったのです。
毎日毎日、欠かさず練習していても、です。

結論から言うと、私がようやく小学生時代のように「思い通りに音を出す」感覚を取り戻したのは、高校2年生になってからでした。
3年間のブランクを埋めるのに、実に1年以上の時間を費やしたのです。
長期間楽器を吹かないことのリスクは、これでお分かりいただけるのではないかと思います。

なお、私が高校時代にトランペットを吹く感覚を取り戻したきっかけについては、過去の記事で詳しく触れています。

結局、毎日吹かないとダメなの?

カレンダー

トランペットを長期間吹いていないと、音色も演奏感覚も、初心者レベルにまで戻ってしまうというお話をしました。
では、「1日休むと3日戻る」という「格言」のとおり、コンディションを維持するには1日でも練習を休んではいけないのでしょうか

これは、経験年数によっても違ってくる問題だと考えられます。
すでにお話ししたように、トランペットを吹き始めて間もないうちは、なるべく毎日練習を続けるのが望ましいです。
正しいアンブシュアを定着させるためには、できるだけ練習の空白をつくらないようにするべきだからです。
それに、初心者のうちは自身の上達具合が実感しやすいものです。
練習時間に比例して演奏が上手くなっていくような感覚は、多くの方が経験していると思います。
「毎日吹くぞ!」と無理に気合を入れなくても、自然と毎日楽器に触れたくなるのではないでしょうか。
ただし、今のご時世では中学校の部活や小学校のクラブ活動は縮小される傾向にあり、毎日楽器を練習できる環境ではなくなってきている、という場合も多いかもしれません。
そんなときは、自宅でも練習できるよう、プラクティスミュートや消音装置を導入するのも一つの方法です。

ある程度の年数にわたって継続的にトランペットを吹いてきた方は、適切なアンブシュアや音を出す感覚がすでに身に付いていると思います。
そういった方は、「毎日吹かなきゃ!」と無理に自分を縛る必要はありません。
楽器を吹かない日が1日くらいあっても、そこまで大きな影響はないからです。
むしろ、無理に長時間の練習を毎日続けていると、唇に疲労が蓄積してアンブシュアに悪影響が出かねません。
その状態でさらに毎日練習を続けてしまうと、不自然なアンブシュアが定着してしまい、元のアンブシュアに戻せなくなってしまう……という悪循環に陥る危険性さえあります。
「楽器を吹きすぎて疲れた」「なんだか調子が悪くなってきた」と感じたら、決して無理をせずに休息を取りましょう。
1、2日くらい練習をしない日があっても、かえって良い休息になり、唇もリラックスします。
休憩や休息も練習のうちです。

一番良いのは、楽しみながら練習を続けること。
「好きこそものの上手なれ」という言葉があるとおり、何にでも共通することです。

継続的に練習を続けるのはもちろん大切です。
「1日休むと3日戻る」というのは、練習の積み重ねの大切さを表している言葉ではないかと思います。
ただし、「苦しい」「辛い」と思いながら無理矢理続けるのは、自身にとって決してプラスにはなりません。
「トランペットを上手に吹けるようになりたい」という「初心」を思い起こし、時には好きな曲を好きなように吹き鳴らしたり、休息を取ったりしながら、楽しいトランペットライフを過ごしてくださいね!

ABOUT ME
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古閑らいこう
トランペット歴25年。小学校でマーチングバンド、高校で吹奏楽部、大学で学生オーケストラに所属し、トランペットを担当。現在は地域の子どもたちの指導にあたっているほか、ビッグバンドのコンサート等で年に数回演奏を披露。

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