吹いてみたい!と思う曲はありますか?
日夜トランペットの練習に励んでいる皆さん、こんにちは!
皆さんは今、どんな曲を練習しているでしょうか?
演奏会のプログラムに入っている曲や、教本に載っている練習曲など、さまざまだと思います。
今取り組んでいるそれらの曲の中に、「この曲のトランペット、カッコいいわぁ~」と思える曲がある方は、きっと練習も楽しくできていますよね。
好きな曲を吹くときは、自ずからテンションも上がるというものです。
でも、トランペットが目立たない曲、カッコいいフレーズがない曲、好みの曲調と違う曲ばかりやらされている、という方も中にはいらっしゃるのではないでしょうか。
吹奏楽部に入部してトランペットを吹くことになり、せっかくやる気を出して練習していたのに「思ってたのと違う曲ばっかりだわぁ……」となってしまっている方もいるかもしれません。
そんな方にテンション爆上げになっていただくために、今回はオーケストラでトランペットが活躍しまくりの曲を集めてみました。
いずれも、風景や物語などのテーマに沿って作曲された「交響詩」や、オペラなどで演奏される曲を集めた「序曲」や「組曲」など、いわゆる「管弦楽曲」と呼ばれている楽曲です。
また、吹奏楽でも演奏機会の多い曲を選んでいます。
トランペットが活躍する交響曲については以前にご紹介していますので、併せて読んでいただけると幸いです。
それでは、さっそくご紹介していきます!
おすすめオーケストラ曲(管弦楽曲)5選!
①チャイコフスキー/序曲「1812年」
アントニオ・パッパーノ指揮
ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
ロシアを代表する作曲家・チャイコフスキーの作品です。
交響曲や協奏曲、バレエ音楽など、いろんなジャンルで名曲をたくさん残しているチャイコフスキーですが、管弦楽曲も例に漏れず名曲ぞろい。
序曲「1812年」は、その管弦楽曲の中でも代表的な作品の一つといえるでしょう。
題名となっている1812年という年は、フランス皇帝ナポレオン1世がロシア帝国に侵攻した年。
この戦いは「冬将軍」の猛威もあってナポレオン軍の敗北に終わりますが、この曲はロシア側の立場で書かれているため、最後はロシアの勝利を祝福するかのように歓喜の盛り上がりをみせて終わります。
その終盤にかけて、トランペットはこの曲の主題やフランス国歌「ラ・マルセイエーズ」の旋律を「これでもか」というくらい高らかに吹き鳴らします。
高校時代、私はこの曲の吹奏楽バージョンを吹いたことがあるのですが、殺人的なフレーズが連続するため、正直非常にキツかったです。
でもその分だけ、「この曲を存分に吹きこなせたらカッコイイだろうなぁ」と思っていました。
ちなみにこの曲、楽譜に「大砲をぶっ放す」というトンデモな指示が書いてあることで有名です。
普通の演奏会ではもちろん不可能なのでバスドラムなどで代用されることがほとんどですが、軍楽隊の演奏では実際に大砲を撃つこともあるようです(もちろん空砲)。
日本でも、陸上自衛隊の音楽隊が本物の大砲を使用して演奏することがあるので、聴く機会があるかもしれません。
上の動画では、大砲の代わりに銃の空砲を空に向けて撃つ演出がなされています。
②コダーイ/組曲「ハーリ・ヤーノシュ」より「皇帝と廷臣たちの入場」
ユライ・ヴァルチュハ指揮
hr交響楽団(フランクフルト放送交響楽団)
※再生ボタンを押すと、第6曲から演奏が始まります。
ハンガリーの作曲家・コダーイの作品です。
元々はオペラとして上演されており、そこで使用される曲から6曲が抜粋されて演奏会用の組曲となりました。
この中でも吹奏楽用にアレンジされて演奏される機会が多いのが、第6曲「皇帝と廷臣たちの入場」です。
作曲者のコダーイは民族音楽の研究に熱心であり、この曲にも民族音楽的なフレーズが溢れています。
第6曲ではそのエキゾチックな主題の一つを、トランペットが奏でます。
一度聴いたらずっと耳に残るような、印象的なフレーズですね。
トランペット3管にコルネット3管など大編成の管楽器に加え、さまざまな種類の打楽器も使用されており、吹奏楽向きの曲といえるかもしれません。
練習しておけば、いつか吹く機会が訪れるかも?
③ワーグナー/楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」より第1幕への前奏曲
原田幸一郎指揮
東京大学フォイヤーヴェルク管弦楽団
ドイツの作曲家で、後世に絶大な影響をもたらしたワーグナーの作品です。
「楽劇」というのはワーグナーが独自に開拓したオペラの形式で、大規模なオーケストラを伴うという特徴があります。
「ニュルンベルクのマイスタージンガー」は、その中でもよく知られた作品の一つであり、第1幕への前奏曲は現在でも式典などで演奏される機会が多い楽曲です。
冒頭からトランペットが主要なフレーズの一部を奏で、曲の幕開けを盛大に飾ります。
この曲のトランペットパートには、前にご紹介した2曲のような派手さや明るさはなく、代わりに重厚で荘厳な響きを求められるフレーズが多いですね。
「あんまり派手で激しい曲は、ちょっと……」という方には、この曲がおすすめです。
④レスピーギ/交響詩「ローマの松」より「アッピア街道の松」
ユライ・ヴァルチュハ指揮
hr交響楽団(フランクフルト放送交響楽団)
※再生ボタンを押すと、第4部から演奏が始まります。
20世紀前半に活躍したイタリアの作曲家・レスピーギの作品です。
「ローマの松」は「ローマ三部作」と呼ばれる交響詩3作品の一つで、レスピーギが各地の松の木にインスピレーションを得て古代ローマの往時を思い浮かべながら作曲したとされています。
4曲目の「アッピア街道の松」は、古代ローマの軍団がアッピア街道を進軍していく模様を表現したもので、静かに始まる行進曲風の曲調が徐々に盛り上がっていき、終盤は圧倒的な迫力で劇的に幕を閉じます。
この曲でのトランペットは、その凄まじい盛り上がりを演出する楽器の一つとして使われています。
序盤は穏やかなフレーズもあるのですが、曲のボルテージが上がっていくとともに、トランペットがまるで咆哮するかのような強烈なインパクトを与えます。
終盤はハイトーンの連発となるため、技術的にもスタミナ的にも非常に難しいのですが、この曲の怒涛の盛り上がりは本当にカッコいい!
実際に演奏したら、奏者も聴衆もテンションが最高潮になること請け合いです。
「ローマ三部作」は吹奏楽で取り上げられることが非常に多い作品で、私が高校生の頃は吹奏楽コンクールの自由曲に選ぶ学校がたくさんありました。
どの曲も大変カッコいいのですが、その分管楽器の難易度も非常に高いので、もし演奏することになったらそれなりの覚悟が必要かもしれません。
⑤ラヴェル/「ダフニスとクロエ」第2組曲より「全員の踊り」
アラン・アルティノグリュ指揮
hr交響楽団(フランクフルト放送交響楽団)
※再生ボタンを押すと、「全員の踊り」から演奏が始まります。
フランスの代表的作曲家・ラヴェルの作品です。
この組曲は、バレエ「ダフニスとクロエ」のために作曲した音楽の中から、作曲者のラヴェル自身が演奏会用としていくつかを選び、組曲形式にしたものです。
「全員の踊り」はバレエの中でも特に盛り上がる場面で流れる音楽であり、リズミカルなフレーズが次々に展開して圧倒的な盛り上がりをみせます。
この曲でのトランペットは、主題を高らかに吹き鳴らすとともに、テクニカルなフレーズを奏でて曲の展開を盛り上げる役目を担っています。
「踊り」の場面で演奏される曲だけに、曲調が終始躍動的で、聴いているだけで体を動かしたくなってくるような、非常にテンションの上がる楽曲です。
この曲も、私が高校生の頃に吹奏楽でよく取り上げられていた作品でした。
木管楽器がまるで拷問のような激ムズフレーズを吹かされるので、敬遠されることも多いのかもしれません。
もし演奏機会があったら、ぜひとも完成度を高めてお客さんをノリノリにさせてみたいと思う楽曲ですね。
目標があれば練習も楽しくなる!
ここまで、トランペットの活躍度の高いオーケストラ曲をご紹介してきました。
たまたまですが、全て違う国の作曲家の曲、5カ国の作曲家の作品となりましたね。
皆さんが「やってみたい!」と思う曲はあったでしょうか?
カッコいい曲というのは、その分だけ難易度も高いということがいえるかもしれません。
でも、コツコツと練習を継続していけば、「全然吹けない」ということはなくなるはずです。
吹奏楽コンクールで超絶難易度の曲を難なく吹きこなしている人たちも、みんな最初から完璧に演奏できていたわけではありません。
「この曲を吹きたい!」という目標ができれば、普段の練習への気持ちの入り方も全く違ったものになると思います。
演奏会やコンクールの曲以外をおおっぴらに練習するのは気が引けるかもしれませんが、「吹きたい!」と強く思うことこそが、演奏するための最大のエネルギーになります。
もし気に入った楽曲が見つかったら、個人練習で少しずつでも吹いてみてください。
いつか、大好きな曲を実際に演奏するチャンスが訪れるかもしれませんよ?
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
今回の私の話が、皆さんのトランペットライフに少しでも役立てば嬉しいです!