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トランペットは難しい!その意外な理由とは!?

トランペットはなぜ難しいのか?
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検証:トランペットは本当に難しいのか?

日々楽器練習に励んでいる皆さん、こんにちは!
楽器未経験の方も、こんにちは!

さて、皆さんはトランペットという楽器にどんなイメージをお持ちでしょうか?
トランペットの有名な曲といえば……

アンダーソン作曲 「トランペット吹きの休日」
ザールブリュッケン・カイザースラウテルン・ドイツ放送フィルハーモニー管弦楽団
アレックス・プライアー指揮

こんな感じですよね。
これを聴いて、「あんな風にトランペットが吹けたらかっこいいなぁ」と思う方は多いことでしょう。
一方で、実際にトランペットを吹いている皆さんは、どのように感じるでしょうか。
この曲を聴いて「げええ」となる方もいらっしゃいますよね?
私も「げええ」ってなります。
曲名こそ「トランペット吹きの休日」ですが、実際に吹いてみると地獄のような曲なのです。

煌びやかな音色、勇壮なファンファーレ。
そんなイメージとは裏腹に、トランペットは「難しい楽器」だといわれるのをよく耳にします。

そこで今回は、

トランペットはどんなところが難しいのか?
トランペットが難しい楽器だといわれているのはなぜなのか?

といった角度から、トランペットという楽器の実態に迫ってみたいと思います!
……なんて書くと仰々しいのですが、なるべく分かりやすく、そしてトランペットという楽器の魅力についてもお話ししたいと思いますので、興味の湧いた方はぜひ続きをお読みいただきたいと思います!

「ええい、そんなことはいい! こちとら、トランペットが今すぐ上手くなりたいんだYO!」
という方は、こちらの記事を読んでみてください。

トランペットという楽器の全体的な特徴については、こちらの記事で書いていますので、よろしければお読みください。

どんなところが難しい?

悩める男

さて、トランペットが他の楽器に比べて難しいと考えられる点について、一つ一つ見ていきましょう。

トランペットの難しい点

①音を出しにくい
②高い音を出しにくい
③音をコントロールしにくい

①音を出しにくい

まず挙げられるのが、音を出すこと自体の難しさです。
トランペットの吹き口(マウスピース)に息を吹き込むだけでは、音は全く出ません
音を出すためには、息を吹き込む際に吹き口に密着させた上下の唇が振動する必要があります。
これは、トロンボーン、チューバなどの「金管楽器」と呼ばれる楽器に共通する特徴です。
しかし、トランペットの場合は他の金管楽器に比べて吹き口が小さいため、唇の振動する面積も小さく、より細かく振動させる必要が出てきます。
これが、トランペットで音を出すことが難しいといわれる理由です。

例えばピアノの場合、鍵盤を押すだけで音が出ますから、全く楽器経験のない人でも音を出すこと自体は難しくありません。
これに対して、初めてトランペットに触れた人が、いきなりちゃんとした音を出すのは至難の業
継続的に練習している人でも、調子の悪い日には楽器を出した直後は上手く音が出ない、なんてことだってあり得ます。
もし本番で音が出なかったら……
想像すると、ゾッとしますね

トランペットの音の出し方については、こちらの記事で詳しく書いていますので、参考にしてみてください。

②高い音を出しにくい

さて。
初心者がトランペットの吹き方をある程度身に付けて、ちゃんと音が出るようになった、その後です。
「よし! 今度は曲の練習だ!」といきたいところですが、またしても高い壁が立ちはだかります。
それは「高音」の壁です。

そもそも、トランペットは指で操作する部分が3つしかありません。
「じゃあどうやって音階を出すんだ?」ということになりますが、それには息によるコントロールが必要になります。
高い音を出すには、楽器の中に息をより速く送り込まなくてはならないのです。
これがきつい(切実)。
プロの奏者の方でも、非常に高い音を出さなくてはならないとき、高音が連続するときに、顔を真っ赤にして吹いているのをよく見ます。
私は中学時代を除いてずっとトランペットを吹いてきましたから、それだけ多くのトランペット吹きを見てきたことになります。
その中でも、高音をバリバリ出せるという人はほんの一握りでした。
アマチュアトランぺッターにとって、高音というのは大きな壁としてずっと立ちはだかり続けることが多いのです。

トランペットで音階を出すしくみについては、こちらの記事をご覧ください。

③音をコントロールしにくい

3つ目はちょっとわかりにくいかもしれません。
先ほどお話ししたように、トランペットで自由に音を出すためには、ピストン操作だけではなく息の速度によるコントロールが必要です。
少し具体的に言いますと、同じ指使いでも息の使い方によって複数の種類の音を出すことができるのですね。
ピストンを全く押さない状態でも、低い音からド・ソ・ド・ミ・ソ……というように、異なる高さの音を出すことができるのです。

「え? じゃあ、どうやって息だけで狙った音を出してるの?」と疑問を抱いたあなたは、鋭い!
音の高さというのは周波数(一定時間内の振動数)によって決まりますので、出したい音の周波数に合わせて唇の振動を調整して……なんてことはできるわけがありません。

要は、勘です。
あと、慣れです。

……これ、半分冗談ですが半分は本当で、例えば「ソ」の音を出したい場合、どういう具合に息を吹き込めばいいかを、何度も吹きながら感覚で覚えていくしかないんですね。
音階を吹く場合にはこれにピストン操作が加わりますから、楽譜通りに音を出せるようになるにはかなりの慣れが必要です。
金管楽器奏者が「音を外す」ことがよくあるのは、そういう理由よるものなのです。

「難しい」と思われているのはなぜ?

以上、トランペットという楽器の難しい点についてお話ししました。

ところで、トランペットを実際に吹いている人が「難しいなぁ」と考える理由、そして吹いたことのない人が「難しそうだなぁ」と感じる理由は、上記とは別にあるのではないか? と私は考えています。

というのも、上に挙げた3つの難しい点は、実はトランペットだけに当てはまるものではないからです。
①の「音を出しにくい」事情として、唇の振動と吹き口の小ささを理由としましたが、実はホルンの吹き口はトランペットの吹き口よりも小さいのです。
だから、音の出し方は「ホルンの方が難しい」とも言えるわけです。
②の「高い音を出しにくい」、③の「音をコントロールしにくい」に至っては、金管楽器すべてに当てはまります。
私は他の金管楽器をきちんと吹いたことがないので何ともいえませんが、この2点はホルンやトロンボーン、ユーフォニウム、チューバの奏者も苦労しているはずです。

では、どうしてトランペットが特別難しいというイメージが先行しているのか?

それは、

トランペットが難しく思える理由

目立つ。

もう、これに尽きます。

突き抜けるような高音、煌びやかな音色、勇壮なフレーズ。
トランペットという楽器は、嫌でも注目を浴びるような要素をいくつも持っています。
上手に吹ければこれほどカッコいい楽器も珍しく、上手い人が吹くソロはまさに独壇場。
トランペットソロを吹く人はみんな、まるで世界の全てを手に入れたかのような恍惚の表情を浮かべているのです(※個人の感想です)

その反面、注目を集めるということは、ミスも目立つということ。
高音が出なかったり、音を外したり、か細い音しか出なかったりということがあれば、聴いている人や周囲の奏者の態度は一変。
一打逆転の場面で空振り三振をしたバッターに注がれるような、冷たい視線を全身に浴びることになるわけです(※経験談です)

私も高校時代、ソロや主旋律が上手く吹けず、仲間たちから白い目で見られたことが何度もありました。
そのたびに「じゃあお前がやってみろや!」と言いたくなったのですが、今振り返れば単に練習不足なだけでした。すんません。

それと、吹奏楽で誰もが演奏したくなるカッコいい曲というのは、トランペットに目立つフレーズがある場合が非常に多いように感じます。
カッコいいフレーズというのはたいてい難しいにもかかわらず、周囲は当然のようにプロと同じレベルで吹くことを期待しますから、ハードルは爆上がり
先にお話ししたような金管楽器特有の難しさも相まって、「プレッシャー」という名の新たな難敵が現れます。
他の楽器だったら誰も気にしないようなミスも目立ちまくり、仲間にも「この下手くそ」という目で見られ……あれ、どうしたんだろう、目から汗が……

それでもトランペットが好き!

なんだか、トランペットなんて練習してもろくなことはないような感じになってしまいましたので、最後に私の考える「トランペットの優れている点」をお話しします。

まずは、次の2つの動画の演奏を聴いてみてください。

レスピーギ作曲 交響詩「ローマの祭り」
サンタ・チェチーリア国立アカデミー管弦楽団
アントニオ・パッパーノ指揮

ガブリエリ作曲 「ピアノとフォルテのソナタ」
フェニーチェ劇場管弦楽団

「ローマの祭り」の第1曲「チルチェンセス」では、激しく殺伐としたトランペットが終始響き渡ります。
これに対して「ピアノとフォルテのソナタ」のトランペットは荘厳で神秘的、他の金管楽器と混じりあってまるで空間を包み込むような響きを作り出しています。

このように、同じ楽器でも全く異なる雰囲気の音色を出せるのがトランペットです。
もちろん、ピアノやギター、他の管楽器でもいろいろな音色を奏でることは可能ですが、トランペットは息の使い方ひとつでガラリとムードを変えることができる楽器だと思うのです。

楽曲によって音色を変えるというスキルも、感覚を掴むまでに練習を重ねる必要がありますが、これができれば演奏者として無限に幅が広がるといえます。
トランペットは思い通りに奏でるのが難しい楽器ですが、演奏している皆さんはぜひ高いレベルを目指してがんばってくださいね!
トランペットに興味がある方も、今回の記事を読んで「やべえ難しそうじゃん」と思ったかもしれませんが、やってみて損はないハズですので、ぜひチャレンジしてみてください!

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
今回の私の話が、皆さんの音楽人生に少しでも役立てば嬉しいです!

ABOUT ME
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古閑らいこう
トランペット歴25年。小学校でマーチングバンド、高校で吹奏楽部、大学で学生オーケストラに所属し、トランペットを担当。現在は地域の子どもたちの指導にあたっているほか、ビッグバンドのコンサート等で年に数回演奏を披露。

POSTED COMMENT

  1. 通りすがり より:

    トランペットは楽器じゃないから難しい

  2. アバター画像 古閑らいこう より:

    いろいろと特殊な点はありますよね。
    どの楽器も極めるのは難しいですが、トランペットの難しさの要因は奏法以外の面も大きいように思います。

    • 通りすがり より:

      ⬆のコメントのものです。金管楽器どれにも当てはまる話ですが、音の出なくて当たり前の楽器なので難しいですよね。楽器は己自身!!笑
      たまにトランペットって楽器なのかなーと思ってます。

  3. アバター画像 古閑らいこう より:

    本当にそうですね。
    その日の自分の体調によって全く音が変わったりしますし。
    楽器というよりも、自分の身体の延長のような気もします。
    「楽器は己自身」というのは、まさに絶妙な表現ですね!

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